住まいづくりをスタートした方に「どんなキッチンにしたいですか?」とお尋ねすると、他の質問より明快なお返事をいただけます。住まいづくりでキッチンにこだわる方は少なくありません。料理がお好きな方はもちろんですが、苦手な方も使いやすく効率的なキッチンを希望されます。最近はキッチンが生活空間と一体になる傾向で、食事をつくるという機能に留まらず、インテリアの一部として捉えられるようになりました。キッチンで過ごす時間は意外に長いものです。機器の性能や収納力も大切ですが、何より家族と交流できる心地よい場所にしたいものです。
台所という呼び方が一般的だった昔は、北側の陽の当たらない場所に設けるのが良いとされていました。それは食材が傷みにくいなど当時の諸事情がありました。現代の高断熱住宅では気にすることはありませんし、IHクッキングヒーターなどの設備機器の登場で、今やキッチンはリビングやダイニングと同列の空間にすることが出来るまでになりました。少し前まで、「キッチンは、壁付型・対面型どちらがご希望ですか?」などと聞いていましたが、長年陽の当たらない場所にあったキッチンが、徐々に陽の当たる場所へと移動してきました。そして今は、住まいのど真ん中「中心型」になることもあります。キッチンはついに自由を手に入れました。
では、自由になったキッチンは、どこに設置するのがベストでしょうか? 例えば、料理しながら家族と話したり、家族みんなで料理を手伝う家庭では。おつまみをつくりながら晩酌し、夜遅くまでテレビを見るというご夫婦は。朝食はそれぞれ別だが、夕食は家族みんな揃って食事をするという家庭では。・・・キッチンでの過ごし方は様々。つまりその答えは、「家族の数だけバリエーションがある。」と思います。
一つの事例を紹介します。キッチンは1階の中心にあり、住まいのコンセプトは「子育て」です。小さなお子さんは、お母さんの見守りがあれば安心できます。トイレに行くのも、お母さんが見えていれば一人で大丈夫だったりします。キッチンで過ごす時間が長いお母さんを、住まいの中心と捉え「どこにいても気配が感じられる空間」にしました。
キッチンの左側に食堂・居間、右側にはスタディースペース、すぐ後ろには水廻りがあります。キッチンから吹抜を見上げると子ども室と寝室が見えます。キッチンから家中が見え、庭も見渡すことができます。キッチンは同時に動線の中心にもなっています。 お母さんが子どもの見守りができる安心な住まい = お母さんが子育てしやすい住まい。そして、家族のコミュニケーションが自然に育まれて行きます。
「竹原の家」新築 所 在 地:広島県竹原市 家族構成:夫婦+子ども2人、 構造規模:木造軸組工法、二階建て 延床面積:115.11㎡(34.8坪)
TOPICS 2 リフォームの重要なポイントは?
TOPICS 1 新築住宅の重要なポイントは?