矢野の家

二世帯住宅

敷地の高低差を利用し、5つのスキップフロアが中庭を囲みながら立体的に構成されている。視線や気配は家族を繋ぐ重要な要素の一つと考え、二世帯(三世代)が適度な距離を感じられる生活が描かれた。

所 在 地  広島市安芸区
構   造  鉄筋コンクリート造
           一部 鉄骨造
階   数  2階建
面   積  敷地面積 468.08㎡
       建築面積 213.26㎡
       延床面積 273.70㎡

 敷地は路線バスが通る県道に接しており、道幅の割に交通量が多い。急激な都市化の波が押し寄せて住みづらくなってきた周辺環境にとまどいを感じながらも、先祖代々住み続けた土地にこだわり、二世帯住宅への建て替えが決まった。
 この敷地に立った時、迷わず県道側に鉄筋コンクリート造の壁を設けることを思いついた。壁は騒音と西日を遮り、何より心理的な安心を得ることができる。遮るだけの機能でなくこの家のファサードとなり、さらに家の中心の中庭を形成してくれる。家族と街とをやわらかく繋ぐ役割を、壁際に植えられたアイビーに委ねた。壁はこの家のコンセプトといえるだろう。
 敷地の高低差を利用し、五つのスキップフロアが中庭を囲みながら立体的に構成されている。それぞれの空間は視覚的にあいまいに繋がっていて、中庭の欅がこの家の幹となる。中二階の居間から中庭を通して一階の親世帯の様子が伺え、ちょっと見上げると二階の子どもたちの遊ぶ姿が見えてくる。視線や気配は家を繋ぐ重要な要素のひとつと考え、二世帯(三世代)が適度な距離を感じられる生活を思い描いた。

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