TN square

テナントビル + オーナー住宅

市内中心部の電車通りに建つ5階建てビル。1〜3階はテナント、4・5階はオーナー住宅。オープンな階段を縦の「路地」と捉えて各階に玄関と格子を設え、心理的な緩衝帯を担っている。4階住居を大きな吹抜空間にすることで、地面に接していないことを忘れさせる第二のグランドロアになった。

所 在 地  広島市中区猫屋町
構   造  鉄筋コンクリート造
階   数  5階建
面   積  敷地面積 171.83㎡
       建築面積 141.77㎡
       延床面積 628.72㎡

 広島市の電車通りに建つ5階建てのビルで、1~3階がテナント部分、4・5階がオーナー住宅という構成である。戦前より問屋街で栄えたこの地は、都市化して様変わりしているが、下町の風情は今も人々の中に息づいている。この地に生まれ育ったクライアントは、ここでの暮らしと人々の繋がりを大切に思い、都心に住み続けることを希望した。
 この建物では、階段を大通りに面したオープンな空間としている。その空間を、大通りから住まいに至るまでの縦の「路地」と考えた。階段に格子を設け、心理的にも大通りと住まいの緩衝帯の役割を担っている。もう一つの工夫は、住居部分が地面に接していないことを感じさせないということである。大きな吹き抜け空間に個室が繋がる構成にそれを委ねながら、吹き抜けをビルの谷間での採光や通風に利用し、子ども達の遊び場を至る所に仕掛けることができた。大きな吹き抜け空間は、家中を見渡すことができる第二のグランドフロアになった。
 住居部分の外壁は、既成コンクリートパネルと断熱材が一体化された材料を、型枠兼用にしてコンクリートに打ち込んだ。この外断熱工法とLOW-E ペアガラスの採用で、室内は温熱環境が飛躍的に安定した。また、室内の仕上げの大部分に火山灰を使った左官材料を用いることで、結露の防止と調湿効果を期待した。

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