大州Fビル(藤村医院)

診療所 + 二世帯住宅

幹線道路沿いの敷地は道路拡張の計画があり、先代から受け継いだ庭園は緑豊かで都心のポケットパークといえる。まず建物を庭園に大きく開き、道路の喧騒から心理的な距離を取った。次に南面に壁を立て中庭を設けて、2・3 階の二世帯住宅を繋いだ。患者も家族も庭園の四季の移ろいに癒されている。

所 在 地  広島市南区大州
構   造  鉄骨造
階   数  3階建
面   積  敷地面積 695.55㎡
       建築面積 290.03㎡
       延床面積 656.80㎡

 敷地は広島駅の東側、マツダスタジアム近くの幹線道路沿いにある。大州Fビルは、永年地域の医療に貢献して来た診療所併用住宅の建て替え計画である。建物の1 階が診療所、2・3 階が医師家族の二世帯住宅という構成である。
 前面道路は都市計画による拡幅が予定されており、建物を約5mセットバックすることを求められた。計画道路が完成後の街並を見据えながら、鉄骨構造の採用など、将来柔軟に対応できるように設計した。敷地には先代より受け継がれた和風庭園がある。木々は大きく成長し、まさに都心のポケットパークといえる。この庭のおかげで、閉塞的になりがちな都心の環境から抜け出すことができた。建物を庭に大きく開くことで内部空間に豊かな広がりが生まれ、道路からの喧騒も庭の緑を介することで心理的な距離ができた。さらに2・3 階の住宅部分には、幹線道路側の南面に敢えて壁を立て中庭を設けている。ここは二世帯が一体に感じられるコミュニケーションゾーンで、周辺から住まいのプライバシーを守ってくれるバッファーゾーンも担っている。
 診療所に訪れる患者も、ここに暮らす医師家族も、共に同じ庭で四季の移ろいを感じ、自然に畏敬の念を感じつつ気持ちも癒される。そんな診療所がこの地に代々と続いてゆくことを願う。

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