井口の家

二世帯住宅(アトリエ併設)

旧街道沿にある町屋特有の細長い敷地。小川に面する外壁2ヶ所を切り取ることで、細長い建物を周囲に合わせ、同時に家族を身近に感じられる豊かな内部空間が実現できた。

所 在 地  広島市西区井口
構   造  鉄筋コンクリート造
階   数  2階建
面   積  敷地面積 162.88㎡
       建築面積  93.79㎡
       延床面積 176.05㎡

 敷地は広島市の西部、旧街道沿いにあり、周辺は古くからの街並みが僅かながら残っている。一人暮らしだったお母さんと若夫婦家族が、二世帯住宅を建てることになった。家族みんなが末永く仲良く暮らせる家にしたいという要望だった。
 町屋特有の細長い敷地形状をどう生かせるか、現代の町屋を考えるにあたりまず西側に流れる小川に着目した。どうしても長くなってしまう建物の、小川に面する外壁2ヶ所を切り取ってみた。これにより建物は3つのヴォリュームに分節され、長い建物を周辺のスケールに合わせることができた。また、庇や格子といった伝統的な街並みのエレメントを、新しい素材で置き換えながら取り入れていった。建物の一部を切り取ることは、内部空間にも大きな効果をもたらした。採光・通風・風景を享受できるようになり、空間に特徴が与えられた。さらに、切り取られた空間は、外部空間でありながら内部空間に広がりをもたらし、それ
ぞれの部屋の気配を視覚的に繋いでくれる。
 外断熱工法と蓄熱式床暖房の組み合わせにより、安全で快適な住環境がエコで実現している。現代の町屋暮らしを末永く支えてくれるだろう。

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