敷地は静かで良好な住宅街にある。海と山に近い平地なので、瀬戸内沿岸部の気候風土を生かした開放的な住まいにしたいと考えた。開放性とプライバシーの確保という相反する課題にはいつも頭を悩まされるが、ここではコートハウス形式にその解決を委ねることにした。
　中庭を囲むコの字型の建物は、道路のある西側に玄関・ゲストルーム・車庫を平屋で設け、東側に２階建ての居住スペースを配置した。この構成により、外部からの視線を遮りながら、中庭に対して大きな窓を設けることができた。玄関の２階にあるルーフバルコニーは将来の増築を考慮してあり、親世帯との２世帯住宅に変貌できる。現在の家族構成は夫婦＋子供二人の４人。音楽好きの一家のため、１階のリビングルームは天井を高めににとり、気積を大きくすることで楽器演奏を楽しめる空間にした。隣接しているスタジオは個人レッスンのためのスペースで、防音設備が施されている。中庭の窓を開け放すと１階全体が大きな一体空間に変わる。「音楽を楽しむホームパーティー」そんな情景を描きながらデザインしていった。

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